異形細胞の発生 (前回の続き)

かつて日本人が行った研究で、ウサギの耳にコールタールを塗り続けて「人工的に癌を発生させた」というものがありました。

コールタールという異物に絶えずさらされることにより、そこに異形細胞を発生させ、癌化を生じさせたものです。

原子力発電所の事故により放射線障害が問題になっていますが、その一つが「癌を引き起こす」という障害です。放射線は人間の身体の細胞を異形化させることがあり、結果として各種の癌を生じるわけです。でも、過度に心配しすぎることはありません。

 

前回記したように、細胞は新陳代謝の過程で異形細胞を生じます。これは、遺伝子が徐々に傷ついていくために仕方のないことです。

クローン羊で、たとえば5歳の羊の細胞から新しい羊を作成しても、そのクローン羊は長生きしません。これは、生まれたばかりのクローン羊は「既に5歳レベルまで遺伝子が傷ついている」(それだけ傷ついた遺伝子をもとに誕生させた)からです。

人間でも、癌以外のすべての病気を克服したとしても、150歳まで生きる人はいません。それは、生まれ出た瞬間から遺伝子は傷つき、異形細胞が発生する確率が歳とともに高まり、高齢になれば誰しも何かしらの癌を持つことになるからです。

 

子宮頸がんは、ウイルスに感染することで異形細胞が誕生します。

「線量×時間」で計算して、多くの放射線を浴びると、たとえば造血細胞が異形を生じたりします。

アスベストは肺の中に残って、絶えず異物として作用し、異形細胞を生じます。

このような特殊な例もありますが、そうでなくとも細胞は絶えず異形化する方に向かいます。

 

では、癌にならないにはどうするか?

異形細胞ができにくくするのも手段ですし、「異形細胞を免疫が駆逐する」環境を保つことも重要です。

「笑うことが癌の予防になる」と言われますが、笑うことで免疫が活性化されると考えれば、これは自然な理論です。

 

やっぱり長生きのコツは、不摂生をせず、楽しく生きることですね。