癌について

公衆衛生の統計上は「悪性新生物」と呼ばれる「癌」ですが、癌ってそもそもなんなんでしょうか?

医学にかかわらない方々にわかるような言葉で、自分なりに綴ってみたいと思います。

癌は、そもそも「本来そこにある細胞と”少しだけ顔つきの違った”細胞が増殖する」ものです。

たとえば胃においては、「胃固有の細胞」が新陳代謝により代替わりしていきます。ただ、細胞は、新陳代謝の中で必ず異形細胞を生み出します。これは、遺伝子が徐々に傷つくものであるため、細胞をコピーして生まれ変わる際には仕方のないことです。でも、もし”大きく顔つきの違う細胞”が現れたとしても、正常な免疫能力があれば、それらは「異物(外敵)」と認識されて淘汰されます。ところが、時に免疫のパトロールをすり抜けるような”少しだけ顔つきの違った細胞”がいることがあります。でも、通常は、そんな”少しだけ顔つきの違う”細胞は長生きしません。また、新陳代謝が繰り返される中で消えていくことが多くなります。

さて、”少しだけ顔つきの違う細胞”が、たまたま”しっかりとした増殖能力を持っていた場合”は、たいへんです。最初に免疫の警戒網をすり抜けて誕生した細胞群が、次第に大きくなってきます。気がつくと、”本来は、そこにあるべき細胞ではない”のに、どんどん増殖していきます。まさに、「ひさしを貸したら、母屋を取られる」状況になります。この「ひさしを貸す」というのが、免疫が異形細胞の出現を見逃したことを指します。「母屋を取られる」は、異形が進んで、増殖能力も強くなった癌細胞(癌組織)が、本来の「その臓器の組織」にとってかわってしまった状態です。

これが、そもそもの癌です。

 

次回は、異形細胞の発生するきっかけについて書いてみましょう。