クリニックに出かけてくる途上で、よく谷根千の小路を散策しています。谷中は、あじさいの色の鮮やかなところだと思います。
そんな「あじさいの色」、かつては地中の鉄分濃度によって決まると信じられていました。
それが最近になって、色は鉄分に左右されるのではなくて、「その あじさい が咲きたい色に咲く」ということがわかったようです。
私たちが小学校のときは、歯みがきの方法まで指導されました。「決して横にみがいてはならず、歯のはえている向きに沿ってみがく」と。そして、それは今では「間違ったこと」になっています。
一時は、不飽和脂肪酸が心臓・血管に「よい効果をもたらす」と言われていました。これも、その後に逆になりました。
消化器内科の世界では、胃の粘膜に係る話題の多くがヘリコバクター・ピロリに占拠されはじめています。さて、これは「かつての常識がくつがえされた結果」なのか? それとも、この「ヘリコバクター・ピロリの常識」が、また、くつがえされるのか???
研修医の時に指導をいただいた小児外科の先生は、その頃に今の私ぐらいのお年でしたが、「この年になって、まだまだ わからないことがいっぱいある。医学は、おもしろいなぁ」と言われました。とても印象に残る言葉です。
臨床医学は未熟な学問、って言われた方もおられました。そこまで割り切らないにしても、決して不遜にならず、目の前の困っている方の訴えに耳を傾けて、最新の情報を提供する姿勢だけは忘れたくないものです。
あじさいは自分の咲きたい色に咲く...
土壌の酸・アルカリや、アルミニウム濃度にもよるそうですけど、
同じ場所でも様々な色があり、あじさい自身が決めるといってくれた方が、よっぽど自然な話ですね。